業者に殴られ、船内閉じ込め=転覆の密航船で人権侵害

 地中海で約800人が死亡したとみられる移民船転覆事故で、生存者の証言から、欧州への密航業者による人権侵害の実態が23日までに明らかになってきた。地中海で相次ぐ密航船事故は、人命軽視と危険な操船が招いた「人災」との批判が高まっている。

 英BBCによると、生き延びたソマリア人少年(16)は、殴られて無理やり乗船させられたと話した。北欧ノルウェーに住む親族に預けようと、両親が渡航費用を工面するまで、リビアで武装した密航業者に9カ月間拘束。「その間、多くの子供が飢えや病気で死ぬのを見た」という。

 業者は船に1200人乗せようとしたが、定員超過で断念。少年は「船倉に鍵を掛けて人を閉じ込めていた。水も食料もなかった」と憤る。生存者の証言によると、移民らは支払額に応じて等級に分けられ、多額を支払えば座席を得られるが、貧しい人は劣悪な環境に閉じ込められた。バングラデシュ人男性はイタリア紙に、900ドル(約10万8000円)払って席をもらったと明かした。

 事故では、チュニジア人船長(27)とシリア人乗組員(25)が過失致死容疑などで逮捕された。バングラデシュ人男性(17)はイタリア紙に、密航船が救助に来たポルトガル船に「3回も衝突した」と指摘。船長が当時酒に酔い、マリフアナを吸っていた疑いも浮上し、悪質な操舵(そうだ)ミスが悲劇を招いた可能性が強い。  転覆時の惨状も分かってきた。救助されたバングラデシュ人のアブディリサクさんは伊紙コリエレ・デラ・セラに対し「皆が叫び、押し合っていた。船倉からは『助けて』と絶叫が聞こえた」と証言。別の生存者、リアジュルさんも英紙ガーディアンに「人々がパニックとなり、片側に押し寄せたため船が傾いた。大半はアフリカの出身者で泳げず、私は泳げたから助かった」と振り返った。 

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